1・17を刻む その1

今年も1・17を迎えた。

阪神淡路大震災から20年。復興は進んだのか、現状はどうなっているのかといった番組が多く流されるようになった。当時、バリバリ働いていた人も、年を重ねている。当時は経済的な負担軽減策がなかなか打ち出されず、再開発によって地域コミュニティが移り変わる中で、暮らしも大きく揺さぶられるなど、様々取り上げられている。

20年、もうあの年に生まれた子どもは成人している年月だ。そう考えると、街もそして街で暮らす人にもいろんなことがあったことは想像に難くない。

当時を思い返してみると、地震の時は施設のベッドで寝てた。結構大きなゆれだったが、最初はベッドが揺れてるだけだと思って目が開いて、目の前にいたI先生(看護師さん)にベッド揺らすなよ〜と言ってたことは、今でもその施設で語り草になってるようで。。朝テレビを見て、被害の様子が刻々と伝えられると、テレビの画面をじっと見ていた記憶が残っている。

その当時は、その年の起きた大事なことの1つくらいにしか思えてなかった。子どもにできることは限られる。いや子どもながらに無力感すら感じていた。

ボランティアへの興味関心が出てきたのも、阪神淡路大震災だったように思う。今日では、1月17日は、災害ボランティアの日になっている。災害とボランティアとのあり方を様々な形で考える、考えなくてはならない災害でもあった。

少し書き留めておきたいことがあるので、続きを明晩に。

雪下ろし

この時期はいつも授業期間が中断するので、愛知県にいる友人宅にお世話になったり、北海道の里親宅で過ごしたりしている。今年は雪が多いということで、雪下ろしのお手伝いと思って北海道へ。相変わらず雪深いなー、何にもないなーと思いながら着いて早々雪下ろしを手伝ったりした。本当に何もないところなので、この雪は地域的には多大な負担だなと思わずにはいられない。後は、おせち料理を手伝ったりしている。施設や寮生活が長かった自分には、家庭の味と言われてもピンとこないのだけど、ちょっとずつ教わってる。料理が基本的には好きだし、楽しいから。


息子たちは、近くのスキー場に連日通い、スキーやスノーボードを満喫している。1年ぶりだけど、だいぶうまくなったようだ。息子たちの成長早いなー。


さて、ちょっとは読書しなきゃなー。

勉強したかったな

24日、クリスマスイブ。我が家はクインテットの誕生日が25日なので、この2日間は、ケーキがずらずらっと並ぶ。ブッシュドノエルとかも並ぶし、ブレデルも並ぶ。ブレデルはつくるのだけど、妻の領域には及ばない。まー子どもたちが喜ぶ顔、弟たちの喜ぶ顔が見られるので、ちょっと自分もホッとする時間である。明日のプレゼントは用意したし、今宵はのんびり過ごしたいところ。

妻がいれば楽しかったのかなとふと思わずにはいられない。プレゼントを準備するのも食事をつくるのもやれることに限りはある。息子たちに不自由な思い、もどかしさを抱え込ませているのかもと思わなくもない。だからこそかな、季節のイベント、固有のイベントは大事にしたいとは思っている。少しでも季節感や楽しさを実感してくれればと願っているから。イベントのある意味での重要性に骨質しているのは自分の経験からなのだろうけども。息子たちにささやかな幸せが訪れますように。


さてのんびり郵便物を眺めていたら、大学で随分お世話になった、師匠とも言える峰島厚先生の退職記念講義の案内だった。自分が学生のときに相当のおっちゃんだったのだけど、峰島先生ももう退職なのかと思うと月日が経つのは早いなと感じる。峰島先生と言えば、お酒大好きなイメージなのだが最近はどうなのだろうか。障害者福祉とりわけ制度をめぐる問題や職員のメンタルヘルスの問題などに取り組まれており、講義に余り積極的ではなかった自分としては、能動的に受講した数少ない1つだった。自分が学生だった頃は、支援費制度をめぐる課題で、障害者運動は大いに盛り上がりを見せていた頃だった。また学内で障害学生をめぐる課題に取り組む中でも、ご著書やゼミを含めいろいろと勉強させていただいた。


今だからこそ言えるだけど;もっと勉強しいろいろ教わりたかったなーと思わずにはいられない。障害者福祉制度、これからも総括なき制度変更が行われるのだろう。発達保障・自立といったキー概念含め今一度峰島先生のご著書を読み返す時間を作りたい。

マニフェストを調べてみよう(^o^)

今回の選挙、私は不在者投票するしかないな〜と言う感じの忙しい師走。。
何を基準に投票するかどうかは悩んでいるのですが、備忘として書いていこうと思います。
子ども虐待及び社会的養護に絞って各党の記述を書いていこうと思います。随時更新。。

自民党
http://jimin.ncss.nifty.com/2014/political_promise/sen_shu47_important.pdf

・虐待を受けた子供など保護を必要とする子供の早期発見や増加への対応、家庭的な環境で養育できる体制づくりを進めます。

虐待は増加しているという認識のようです。「家庭的な環境で養育できる体制づくり」が具体的に何を指しているのか、知りたいです。

民主党
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2014.pdf

・子ども虐待防止のため、さらなる支援を検討します。

さらなる支援とはなんだろうか。

維新の党
https://ishinnotoh.jp/election/shugiin/201412/pdf/manifest.pdf

※記載なし

予想通り・・・。

公明党
https://www.komei.or.jp/campaign/shuin2014/manifesto/manifesto2014.pdf

・生活困窮世帯等の子どもや児童養護施設等へ入所している子ども、ひとり親家庭の子どもの学習支援を強化します。

学習支援も、所謂子どもの貧困問題の中のメインテーマの1つだ。他のテーマ同様に、その分野の時事的な課題を取り上げているという点では、現場の声を聴く体制はやはり整っているのだなと感じる。

次世代の党
http://www.jisedai.jp/news/20141122.html

※記載なし

予想通りです。。

共産党
http://www.jcp.or.jp/web_policy/html/2014-sousenkyo.html

児童養護施設、里親制度などの整備・拡充すすめます

経済的、社会的事情をもった親が子育てできない状況におちいったり、予期せぬ妊娠に悩んだ時に、身近に相談できる体制を整備します。
児童福祉行政の中核的役割を担う児童相談所は全国で207カ所、乳児院は130カ所しかありません。児童相談所児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親が育てられるための支援をつよめるとともに、困難な場合の受け入れ施設の拡充をすすめます。
児童養護施設などの国の最低基準を旧民主党政権が廃止し、自治体まかせにしてしまいました。国の責任で職員配置や施設整備の改善、小規模化、家庭的養護の推進を急ぎます。施設に暮らす子どもたちの教育、進学への支援をつよめます。里親制度は子どもたちを家庭的環境で育てるために重要な制度です。いっそうの拡充をはかり、里親への支援や研修の充実、制度の周知をすすめます。

児童虐待の防止対策を強化します

格差と貧困のひろがりを背景に、2013年度に全国207か所の児童相談所児童虐待相談として対応した件数は73,765件(速報値)で、過去最高を更新しています。児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援などの独自の施策をつよめます。早期発見で子どもを守るために、保育所や学校、病院、児童相談所、保健所、子育て支援センター児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関の連携をはかるとともに、職員の専門的な研修をつよめます。相談支援体制を充実させるために、児童相談所の増設、職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実、一時保護施設や児童福祉施設の整備増設、設備や職員配置の改善をはかります。虐待を受けた子どもへの専門的なケア、親にたいする経済的、心理・医療的、福祉的な支援をつよめます。

相変わらず分量は多い。実現性、具体的な進め方はともかくとして。。児童相談所の増設に触れている。しかし、地域にリソースが整備されていなければいくら増設しても効果が薄い。どういう単位で整備する必要があると考えているのか知りたい。

生活の党
http://www.seikatsu1.jp/special/2014manifest

※記載なし

貧困問題については触れているが、直接的に虐待や養護について触れている箇所は見当たらない。ちょっと意外。

社民党
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2014/commitment.htm

・虐待による子どもの死亡、居所不明児童・乳幼児の問題なとの深刻化に対応するため、早急に児童相談所の職員配置を拡充し機能強化。

最近よく報じられている居所不明児童・乳幼児問題を取り上げている。ただ、児童相談所の職員配置を拡充することがどこまで、その問題の解決につながるかはわからない。行政全体の仕組みも根っこにあるので、具体的に示せる部分がもっとあったのではないかとも思う。

新党改革
http://shintokaikaku.jp/web/wp-content/uploads/2014/12/yakusoku1202.pdf

※記載なし

メインテーマはアベノミクスの軌道修正と思われるので、触れていないのだろうか。

票にならないので取り上げられることが少ない、という声をたまに耳にする。かき消されそうな中でも、アンテナをはり、耳を傾け、共に解決に向けて歩む、これが政治、政党、議員のあり様ではないか。虐待をめぐる報道が頻繁にある中で、政治として、政党として、議員として、何を成すべきかということをこの大事な選挙で少しでも示してほしかった。社会的養護も然り。耳触りのよいことだけに耳を傾け、目に入れたくない現実からは背ける、マニフェストを眺めるとどこか政党の思惑だけが目立ってしまっている、そんな思いが残った。

〈ゼミ生のみなさん・OB&OGのみなさん〉研究室のSiteをリニューアルします。

風邪などひかれてませんか?

タイトルのごとく、少し情報を整理してサイトを一部統合したりしました。
従前のWordpressのサイトは一旦閉鎖しましたので、ご了承ください。

過去ログとして、過去の講義資料等は残しておきますが、リンクの張り替え作業が追い付かない状況です。

よろしくお願い致します。

新サイト:https://sites.google.com/site/itattzlab/

新しくなる少年院法、新しくできる少年鑑別所法 〜広島少年院事件を風化させてはならない、そのスタートになれば〜

日本はもうすぐ梅雨の季節。まだ梅雨でもないのに、猛暑日になったこともあって、盛夏がフライングしていますがみなさんは、いかがお過ごしでしょうか。
最近、ブログの更新がストップしていたのですが、年度初めのゴタゴタも落ちつきまして、ようやくいろいろのんびり考えることができるようになってきました。またすぐ入試シーズンはやってくるのですが、しばらくは、ゆったりした気持ちで過ごしたいと思います。

さて、6月4日は歴史がまた1つ刻まれた日となりそうです。それはおよそ65年ぶりに少年院法が抜本的に改正されることになり(従来の少年院法を廃止し、新しく少年院法作り直した)、併せて新たに少年鑑別所法が誕生しました。遅きに失したとは思いますが、まずは第一歩ということで、評価したいと思います。
少年院法はおよそ65年もの間、抜本改正が行われずに放置され続けてきました。しかし、今回の改正にあたっては、委員会での審議は大変充実したもので、民主党の横路さんや階さんの質疑を聴いていると、非常に丁寧な議論をされていると感じました。横路さんは、衆議院の議長も務めた方で大ベテランですが、ともすれば、光が当たることの少ないテーマにも関わらず、資料に基づいた的確な指摘・提案をされていました。

ポイントとしては、?全国の少年院等に弁護士などの専門家や地域住民等で構成される「視察委員会」が設置されること?収容されている少年が不当な処遇を受けた時などに書面で直接法務大臣に申立てができる制度ができたこと?少年と家族との連絡手段に電話が加わったこと(少年院等の長の要許可)?職員に少年の身体検査や拘束を認める条件を明記したこと?少年院等の対応に問題がある場合、視察委員会の意見、施設の対応の公表が定められたこと、この5つでしょうか。

以下、それぞれのポイントについて、簡単にコメントしたいと思います。
?の視察委員会については、いわゆる外の目を入れるという事で、児童福祉施設等にも見られた動きですが、処遇改善にどこまで資するのか、実効性があるものになるのか、注目されるところです。逆に言えば、処遇改善に向けて、新しいパートナーとして委員会が機能するように職員の意識改革を含めた環境整備が必要になってくると思います。
?については、今回の改正前から既に運用されてきています。2013年は199件の利用がありました。今後も積極的な活用が望まれる制度です。
?については、電話以外にも従前から認められていた面会については月2回以上、手紙ついては4通以上を認めています。通信のやりとりは、少年院出院後も家族関係の形成・維持に資するケースもあるので、今回具体的に保障されたことは評価できる点です。ただ、電話が認められたのは前進なのですが、少年の円滑な社会復帰に役立つという条件付きです。この条件が具体的にどのような要件を満たせばOKなのかということを今後の運用の中で実質化していかなくてはなりません。
?について、今回の改正の契機となった事件を経て明確にされたことです。きっちりと浸透をはかっていかなくてはなりません。何のための改正だったのかと言われないようにするためにも。
?いわゆる不適切事案があった際の対応を定めたものですが、どこまで公表されるのか、どのように視察委員会の意見をいかしていくのか、公表後の様々な動きを見通したうえで、適切な公表の対応がとられることを望みます。

もう5年か、早いなと思います。広島少年院での悪夢。法務教官ともあろう人間が、入所者に暴行、シーツで首を縛り遺書を書くように指示、トイレに行かせずに失禁させるといった行為を行った事件。法務教官は有罪が確定しています。しかし、今回の改正に至るまでに5年。法律をつくり、変えていくのはこんなに長い時間が必要なのかと、思わざるを得ません。
事件当時、ブログの中で「暴力の引き継ぎ」が行われていたのではないか、と指摘しました。この悪しき連鎖を断つことができるでしょうか。法務教官は「感情労働」でもあるとも述べましたが、果たしてそうした職務を行うだけの教官への研修の充実化、2度と不当な暴行事案を起こさない組織のあり方、実践のあり方の見直しなど、多角的に行われなければなりません。

今まで、少年院や少年鑑別所あるいは児童自立支援施設は、非行少年の最後の砦のような立ち位置に置かれたり、自ら固定化させてしまっていました。例えば、少年院は保護観察所に遠慮して控えめに支援を行っていたりしています。しかし、少年院等の入所者の家庭環境をみると、その環境が極めて脆弱な状態の少年がかなりの数にのぼります。少年鑑別所については統計がとられていないけれども、保護者からの虐待を受けたと申し出た少年院入所者が2014年2月末の法務省の調査で、62,2%いるという結果もあったりします。また、法務省の矯正統計年報によれば、家庭等の生活程度が貧困と回答した入所者も相当数います。
出院後頼りになる人がいないというのは、重大な課題です。今回の法律では、出院した少年が少年院等に相談できる制度も導入されます。少年院や少年鑑別所において、専門性を生かしつつ、地域と連携した見守りと励ましができる仕組みが整えられれば、「社会復帰」はより円滑に進むものと考えます。最後の砦としての役割だけでなく、児童福祉の重要なキープレーヤーとして、少年院や少年鑑別所が役割が果たすことが期待されます。これまでは、児童自立支援施設も含めてですが、社会から隔絶された存在でした。しかし、極めて不幸な事件を経て、地域社会の中の少年院、少年鑑別所として、地域のパートナーとしての存在を確立していくことになりました。前述の視察委員会は、その具体化の1つですが、出院後のみならず、非行に至る前に様々なキープレーヤーが、子どもの幸せのために動ける仕組みづくりを今回の法改正をきっかけに進むことを願っています。微力ですが、私もこれまで以上に力を尽くしていきたいと思います。

新しくなる少年院法、新しくできる少年鑑別所法 ~広島少年院事件を風化させてはならない、そのスタートになれば~

日本はもうすぐ梅雨の季節。まだ梅雨でもないのに、猛暑日になったこともあって、盛夏がフライングしていますがみなさんは、いかがお過ごしでしょうか。
最近、ブログの更新がストップしていたのですが、年度初めのゴタゴタも落ちつきまして、ようやくいろいろのんびり考えることができるようになってきました。またすぐ入試シーズンはやってくるのですが、しばらくは、ゆったりした気持ちで過ごしたいと思います。

さて、6月4日は歴史がまた1つ刻まれた日となりそうです。それはおよそ65年ぶりに少年院法が抜本的に改正されることになり(従来の少年院法を廃止し、新しく少年院法作り直した)、併せて新たに少年鑑別所法が誕生しました。遅きに失したとは思いますが、まずは第一歩ということで、評価したいと思います。
少年院法はおよそ65年もの間、抜本改正が行われずに放置され続けてきました。しかし、今回の改正にあたっては、委員会での審議は大変充実したもので、民主党の横路さんや階さんの質疑を聴いていると、非常に丁寧な議論をされていると感じました。横路さんは、衆議院の議長も務めた方で大ベテランですが、ともすれば、光が当たることの少ないテーマにも関わらず、資料に基づいた的確な指摘・提案をされていました。

ポイントとしては、①全国の少年院等に弁護士などの専門家や地域住民等で構成される「視察委員会」が設置されること②収容されている少年が不当な処遇を受けた時などに書面で直接法務大臣に申立てができる制度ができたこと③少年と家族との連絡手段に電話が加わったこと(少年院等の長の要許可)④職員に少年の身体検査や拘束を認める条件を明記したこと⑤少年院等の対応に問題がある場合、視察委員会の意見、施設の対応の公表が定められたこと、この5つでしょうか。

以下、それぞれのポイントについて、簡単にコメントしたいと思います。
①の視察委員会については、いわゆる外の目を入れるという事で、児童福祉施設等にも見られた動きですが、処遇改善にどこまで資するのか、実効性があるものになるのか、注目されるところです。逆に言えば、処遇改善に向けて、新しいパートナーとして委員会が機能するように職員の意識改革を含めた環境整備が必要になってくると思います。
②については、今回の改正前から既に運用されてきています。2013年は199件の利用がありました。今後も積極的な活用が望まれる制度です。
③については、電話以外にも従前から認められていた面会については月2回以上、手紙ついては4通以上を認めています。通信のやりとりは、少年院出院後も家族関係の形成・維持に資するケースもあるので、今回具体的に保障されたことは評価できる点です。ただ、電話が認められたのは前進なのですが、少年の円滑な社会復帰に役立つという条件付きです。この条件が具体的にどのような要件を満たせばOKなのかということを今後の運用の中で実質化していかなくてはなりません。
④について、今回の改正の契機となった事件を経て明確にされたことです。きっちりと浸透をはかっていかなくてはなりません。何のための改正だったのかと言われないようにするためにも。
⑤いわゆる不適切事案があった際の対応を定めたものですが、どこまで公表されるのか、どのように視察委員会の意見をいかしていくのか、公表後の様々な動きを見通したうえで、適切な公表の対応がとられることを望みます。

もう5年か、早いなと思います。広島少年院での悪夢。法務教官ともあろう人間が、入所者に暴行、シーツで首を縛り遺書を書くように指示、トイレに行かせずに失禁させるといった行為を行った事件。法務教官は有罪が確定しています。しかし、今回の改正に至るまでに5年。法律をつくり、変えていくのはこんなに長い時間が必要なのかと、思わざるを得ません。
事件当時、ブログの中で「暴力の引き継ぎ」が行われていたのではないか、と指摘しました。この悪しき連鎖を断つことができるでしょうか。法務教官は「感情労働」でもあるとも述べましたが、果たしてそうした職務を行うだけの教官への研修の充実化、2度と不当な暴行事案を起こさない組織のあり方、実践のあり方の見直しなど、多角的に行われなければなりません。

今まで、少年院や少年鑑別所あるいは児童自立支援施設は、非行少年の最後の砦のような立ち位置に置かれたり、自ら固定化させてしまっていました。例えば、少年院は保護観察所に遠慮して控えめに支援を行っていたりしています。しかし、少年院等の入所者の家庭環境をみると、その環境が極めて脆弱な状態の少年がかなりの数にのぼります。少年鑑別所については統計がとられていないけれども、保護者からの虐待を受けたと申し出た少年院入所者が2014年2月末の法務省の調査で、62,2%いるという結果もあったりします。また、法務省の矯正統計年報によれば、家庭等の生活程度が貧困と回答した入所者も相当数います。
出院後頼りになる人がいないというのは、重大な課題です。今回の法律では、出院した少年が少年院等に相談できる制度も導入されます。少年院や少年鑑別所において、専門性を生かしつつ、地域と連携した見守りと励ましができる仕組みが整えられれば、「社会復帰」はより円滑に進むものと考えます。最後の砦としての役割だけでなく、児童福祉の重要なキープレーヤーとして、少年院や少年鑑別所が役割が果たすことが期待されます。これまでは、児童自立支援施設も含めてですが、社会から隔絶された存在でした。しかし、極めて不幸な事件を経て、地域社会の中の少年院、少年鑑別所として、地域のパートナーとしての存在を確立していくことになりました。前述の視察委員会は、その具体化の1つですが、出院後のみならず、非行に至る前に様々なキープレーヤーが、子どもの幸せのために動ける仕組みづくりを今回の法改正をきっかけに進むことを願っています。微力ですが、私もこれまで以上に力を尽くしていきたいと思います。