シングルパパ目線で遺族年金を眺める

最近はNPOの活動に必死だったり、研修や勉強会によんで頂いたりで非常に多忙な日々を過ごしております。とりわけ、しつこいようですが、4月からの障害福祉サービスの制度改正への対応にてんてこまい。研究の時間はもとより、自分の思考を落ち着かせたり、整理したりする時間が不足しています。ただでさえ足りないスペックを、フル稼働させているので、春先はエネルギー切れになってしまいそうです。


そんな中迎えた3月11日。東日本大震災から1年。東日本各地での大きな地震、そして津波。さらには原発事故。1年、自分に何ができただろう、これからどんな支援ができるだろうか、考えてみました。震災や放射線の影響で家族がバラバラになってしまった、あるいは大切な家族を失ってしまった、そんな人たちが多くいらっしゃいます。自分に何ができるか、今何をしたらよいか、考えて1つだけ、具体的に提起できそうな課題がありました。


今日は遺族年金問題について考えてみたい。そもそも遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがある。それぞれ、どのようなものなのか。日本年金機構のHPをからみてみたい。

まずは、遺族基礎年金。

国民年金に加入中の方が亡くなった時、その方によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)のいる妻」又は「子」に遺族基礎年金が支給されます。

そして、遺族厚生年金。

厚生年金に加入中の方が亡くなった時(加入中の傷病がもとで初診日から5年以内に亡くなった時)、その方によって生計を維持されていた遺族(配偶者または子、父母、孫、祖父母の中で優先順位の高い方)に遺族厚生年金が支給されます。

※子のある妻又は子には、遺族基礎年金も併せて支給されます。なお、子は遺族基礎年金の受給の対象となる子に限ります。

簡単に言うと、遺族基礎年金は妻や子にしか支給されない。遺族厚生年金は支給されますが、遺族が夫である場合と妻である場合では著しい格差がある。以上2つが大きな問題です。基礎年金の方は、わかりやすく対象者が決まっているので、あーそうですかとなると思いますが、厚生年金はちょっと複雑。著しい格差って何でしょう。それを解説します、一言で。

遺族厚生年金の受給要件において、夫の要件は55歳以上と制限があります。そして実際に受給できるのは60歳になってから。子どもがいる場合は、子どもに対して支給されるのですが、子どもがいない場合は、何も支給されません。


何がおかしいって、同じひとり親なのに、「パパ」と「ママ」というで格差をつける意味がわからん!!

ちなみに私ももらってないのですけどね…、まーそれはこの際おいて置こう。

さて、この問題ずっと以前から指摘されていた問題ですが、政治家に無視され続けています。そこに東日本大震災が起き、シングルパパとなられた方も少なからずいらっしゃいます。お金の問題で、ガタガタ言うんじゃない、という声もありそうですが、パパも生活していかなくてはなりません。子どもの生活を守るために全力を尽くす、このことに、パパとママで違いがあるでしょうか。
遺族年金は、被保険者が死亡した場合にその所得の保障として支払われます。つまり、定年まで(老齢年金受給まで)の間で、家族を失い、生計への影響を、所得の面から小さくしようということで支給されるものであり、母子世帯と父子世帯での収入格差を持ち出して、支給要件に格差をつけることには、何ら妥当性、正当性はありません。

そして、憲法の第24条2項にも反しているのではないか、という指摘もあります。いずれにしても、子ども手当の名称ばかりこだわっている政治家連中に、この問題を解決する気はまるでなさそうです。子ども手当に関していえば、これだけころころ変わって、手続きする保護者の身にもなってみろ!!と言いたいです。そして、自民党公明党がどうして唯一といてもいいくらい政策効果が明らかな、高校授業料無償化の見直しにこだわるのか、理解不能です。

確かですね、民主党の当時の幹事長は、子ども手当を政争の具にしないと言っていました。あれはもはやなかったことになっているではありませんか。子ども・子育て新システムも、いったいどこ向いてつくっとるんだと言わんばかりの内容。国会もマスコミも、消費増税の話しか聞こえてこない。復興こそが日本にとっての最重要課題であり、ターニングポイントのはず。今回の遺族年金問題が解決されれば、子どもの育ちも、復興へのエネルギーにもささやかですが、確実によい影響をもたらします。国会議員も、マスコミもちゃんと仕事してください。