また児童自立支援施設で不適切事案。

ここのところ、児童自立支援施設で不適切な事案が相次いでいるように思われる。そして様々な事件も報じられている。そしてまた不適切事案が報じられている。

福岡県の児童自立支援施設での事案。

県立の自立支援施設 少年に穴掘り懲罰 無断外出などに 深さ2メートル超も 人権救済申し立て

非行少年らの立ち直りを支援する福岡県立の児童自立支援施設福岡学園」(同県那珂川町)で、無断外出などをした少年に対し、「特別指導」の名目で直径1・5メートル、深さ2メートル以上の穴を掘らせるなどの罰を科していることが26日、学園などへの取材で分かった。児童福祉法は同施設での指導について「福祉のために必要な措置」に限って認めており、厚生労働省は「苦痛を与える作業を目的もなくさせるのは問題だ」と指摘する。
 
実態を調べている弁護士は「指導の域を超えた体罰や虐待に当たる可能性がある」として、近く、同県弁護士会に人権救済を申し立てる。同学園の小寺高文園長は穴掘りの目的について「残飯などを埋めるため」と説明したが、「2メートル以上も掘る必要は無かった。危険なので、必要以上に深い穴掘りは今後やめさせる」としている。
 
福岡学園には主に中学生の男女37人が入所し、五つの寮で生活。無断外出や男女交際などは禁止されており、重い違反には特別指導が課される。
 
学園によると、穴掘りは特別指導の中で2012年度は9件行われたという。小寺園長は、今年1月の2件は穴の深さが2メートル以上だったことを認めた上で「他は50センチほどだったと聞いている」と説明。一方、複数の少年は1月以前についても「去年夏にシャベルで2メートル以上を掘った。きつくて嫌だった」「身長より深い穴を何回か掘った。朝から夕方まで掘り続け、体力のない子は何日もかかる」と話している。穴掘りの際、職員が立ち会わないこともあったという。

西日本新聞

何のための「特別指導」だったのだろうか。朝日新聞に少年が掘った穴の写真が掲載されている。(リンクはこちら)もうよくわからない。身長を超える穴を掘らせること、作業するうえでの安全リスクをどのように考えて指導を行っているのか。子どもの為を思って行うのが指導であるにも関わらず、児童の安全には全く関心を払っていない、指導の是非以前の問題だ。


懲罰であるかどうかは、児童自立支援施設運営指針に沿って今後調査されることになる。それ以外にも、どうして少年がもっと深く掘りたいと思ったのか、そして問題行動に至るまでの過程、その後の指導過程など丹念に調査すべきである。


よくわからないのが、「無断外出」に対する特別指導の内容が果たして適切であったのかどうかという点。そしてこのような、施設特有の指導が長期間行われてきていたということだ。児童自立支援施設では、農作業を指導の一環として行っている。ある意味で、施設だからこそできるではある。しかし、児童の自立支援という観点から、こうした指導について検討がなされてもよいのではないだろうか。私は、施設生活と家庭生活において生活の違いが少ないことが、地域復帰にはとても重要だと考えている。施設という異空間に放り込まれれば、そこから早く脱出したいという願望つながる。それが異空間であればあるほど強くなる。施設から出た後の戸惑いを増幅させることにもなる。それでは、施設での生活の意味も全くなくなってしまう。これで本当に良いのだろうか。

以前、「児童自立支援施設試論及び試論その2というものを書いた。いずれ児童自立支援施設の存在意義を問わなければならないだろう。