背伸び

ふと、書き記しておきたいと思った。

自分は「普通の人間」になりたい、ありたい。いつもそんなふうに思い続けている。素直になればいい、よくそんな言葉に出会う。そういうときの、素直になるということは、同情を受けろということなのだろう。弱音も本音も、他人に言ったら負け。負けて打ちひしがれて、自分は堕ちていく。


負けを認めれば楽になる。でも、負けたくない。それが身の丈に合わない、背伸びのしすぎだという自覚はある。でも、ちょっとくらいそんな時間、みんなと同じ時間、空間を共有したい。そんなときに、自分の生い立ちは重荷になる。自分のことは話したくない。できるだけ、普通の子でいる時間を長くしたい。いつか終わるとしても。


失いたくない幸せを奪われること、きっと耐えられない。増して、出会えただけでも幸せだなと思えた人に、自分の生い立ちなんて見られたくはない。