あるシングルパパの思い

最近日曜日になるとTBSの「とんび」という番組を見ている。佐藤健さん演じる旭くんと内野聖陽さん演じるヤス、そしてそれを見守る人々の姿を描いている。久しぶりにいいドラマだなと感じている。そして、今自分が置かれた環境とあまり変わらないし、そして昔の自分はどうだったのかなと思いながら、つい見入ってしまっている。



人の思いが重なり合って、人は育っていく。時に、それがぶつかりあったり、重たく感じたりすることもある。でも思いが重なり合うことがない、あるいはそれができない状態になったとき、しんどい、辛い、どうしていいのかわからなくなる。

だからこそ、「側」にいる人がいる環境が大事なのだなと思う。側にいると感じられる人がいるからこそ、いろんな思いを感じられる。距離感が難しいのだけれど、側にいると感じられるからこそ、心と心のキャッチボールができる。



思い返せば、私も幼少期にいろんな人との出会いがあった。目まぐるしく変わる人の中で、そして箱庭のような暮らしの中で、何を、どのように、いつ伝えればよいのかよく考えるようになっていった。そして、周りの人のリアクションを気にかけるようになっていった。施設や里親という場所をなくせば、自分は生きてはいけない。ある意味、自己防衛のためにやってきたのだけど、それを日々繰り返し、挫折して、人の道を思いっきり踏み外した。

でも、血のつながりもないくせに待っていてくれた。おかえりなさいと言ってくれた。そして、ごめんなさいって謝った。その時に初めて、側にいる人の大事さを感じた。今もなんとなく距離感はあるし、どうしていいかわかならないときも多いけれど、ぼちぼちいい関係は築けているように思う。



まさか、子どもを育てることになろうとは思わなかったし、シングルパパになるなんて想定になかった。子どもたちにとって側にいる人がひとりいなくなった。外野の人たちからは、施設に預けるべきだとも言われた。しかし、それは断って、今はなんとかやっている。施設生活の全てを否定するわけではないけれども、自分と同じような思いだけはしてほしくない。そして、できれば彼らの今後のことも考えて、地域の呼吸、例えば暮らしている人、働いている人の呼吸を感じられる環境下で育ってほしい、そんな思いだけは守り続けている。


日々の子育てで何かと苦戦することも多いし、戸惑うことも多いけど、子どもたちの側にいる人であり続けたい。